話し方は、人柄がわかるひとつのツールです。患者さんやスタッフから信頼を得るには話し方が重要ですが、どうしたらいいのかわからない…と悩んでいる院長先生も少なくありません。
そこで今回は、良好な関係を築く話し方のコツについて解説します。もっとコミュニケーション力をつけたい、良好な関係を築きたい院長先生は是非、参考にしてください。
話し方のコツ
会話はコミュニケーションのひとつであり、相手がいないと成り立ちません。人と人とのやり取りであることを意識して、会話をしましょう。
また会話をする際は、次の3つのことを意識することで相手に好印象を与える傾向です。
沈黙を恐れない
会話中の沈黙が怖い、沈黙が気まずいと感じる人が多いと思います。そのため、会話が途切れないように、話し続けようとします。
しかし、言葉は沈黙を埋めるための道具ではありません。何かを伝えるための手段です。たとえば、沈黙を怖れている人が沈黙の何が嫌かを聞くとほとんどの場合が「自分のコミュニケーション力が低いと思われる」「つまらない人間だと思われる」といったことに集約されます。
ただ、本当のコミュニケーションを身につけるには、沈黙に強くなることが必要です。なぜなら、沈黙は相手が考えるために必要なコミュニケーションのひとつだからです。
それを知らず話し続けると「うるさい人」「余計な詮索をする人」にみられる可能性があります。そのため、沈黙になっても落ち着いていられるようになりましょう。
相手が沈黙の状態をどう思っているのかも、本当のところはわかりません。まずは、沈黙の時間を自分がリラックスして、相手を観察する時間として意識するのがおすすめです。
自分を主にして話す
人はそれぞれの環境や価値観、今までに体験してきたことなどで、現在の自分ができています。本人しかわからない、テリトリーをそれぞれが持っています。
そのため、自分のことについて勝手に決めつけられると、不快な気持ちになりやすいです。それは、自分にしかわからないテリトリーに、踏み込まれているように感じるためです。
たとえば、スタッフに「Aさんは言いすぎるから、新人を指導する時はもっと優しくして欲しい」と伝えた場合、言われたAさんは「何もわからないくせに」「勝手に決めつけないでほしい」と感じ、院長との信頼関係が崩れる恐れがあります。
相手に頼み事をする際は、自分を主体として切り出すのが基本です。自分を主体にすると言うのは「私は」を主語にして、自分の事情や気持ちを話すこと。
先ほどの例文を自分を主体にして伝えると、次のようになります。
「私は治療をしているから新人指導があまりできないけれど、Aさんが新人指導をしてくれて助かっているよ。ただ、もう少しアドバイスのような感じで伝えると新人も理解しやすいと思うんだけれど、どうかな?」と伝えれば、責めている要素がないため、Aさんは快く従ってくれる確率が高まります。
相手に伝わるかを意識する
自分が主体で会話をする時には「自分がうまく話せるか」「話す内容はこれで大丈夫か」など、自分のことばかり考えがちです。そうすると、緊張や焦りから声が小さくなったり、顔が強張ったりし、自信のない話し方になりやすいです。
そのため、自分がうまく話せるかよりも、相手にしっかりと伝わるかを意識しましょう。
たとえば、患者さんに治療の説明をしている際には、表情や仕草を確認するようになります。
相手の反応が悪い場合には「ここまでの話でわからないことはありますか?」「何か気になる点はありますか?」と促すことで、相手のペースにあわせて話が進み、理解しやすい傾向です。
また、相手に伝わるかを意識するため、緊張や焦ることもなくなり、結果として伝わる話し方ができるようになるでしょう。
まとめ
人間関係を良好に保つには、自身の話し方が重要になります。ただ、自分の話し方ばかりを意識してしまうと、本当に言いたいことが伝わりにくくなります。
相手に伝わりやすいかを意識し、自分の事情や気持ちを交えながら話すことで、相手は理解しやすいでしょう。
人間関係は毎日の積み重ねです。話し方を意識して、少しずつ良い関係を構築していきましょう。
歯科衛生士 帆保智子