電話応対は、相手の顔が見えないぶん適切な対応が求められます。とはいえ、基本的な電話応対を教えている歯科医院は多くありますが、臨機応変に対応できるように教えている医院は少ない傾向です。
そこで今回は、ワンランク上の電話応対について紹介します。
相手に好印象を与える電話応対のポイント
歯科医院には予約以外にも相談やクレームなど、さまざまな電話がかかってきます。特に、電話での説明が難しいときや伝えたい内容が複数ある場合、ストレートに伝えると失礼になる場合は、下記のポイントを押さえてから伝えましょう。
《しっかりまとめてから伝える》
歯科医院から電話をする際、悩みながら話したりダラダラと話したりすると、相手に正しく伝わらずに混乱を招く場合があります。説明が難しいときこそ事前に準備をして、伝え方を考える必要があります。
たとえば、まずは相手に一番伝えたい内容が何なのか、結論を明らかにしましょう。結論や一番伝えたいことを最初に説明し、その後に理由を伝えます。この手順で説明すると、目的や主旨が相手に伝わりやすいです。
また、伝えたいことを頭の中でまとめていても話しているうちに忘れてしまったり、相手の話に流されてしまったりすることもあるため、必ずメモに書いておきましょう。
《マイナスな話しはハンバーガー話法を使う》
ハンバーガー話法とは、パンとパンの間に具材を挟むように、結論→理由→結論と、理由を挟んで伝える方法のことです。特に謝罪のケースは、会話の前後に謝罪の言葉を添えることで反省している印象を相手に与えやすいでしょう。
たとえば、電話での謝罪は下記のような流れで伝えるのが効果的です。
①謝る:「この度は大変申し訳ございませんでした。」
②具体例を伝える:「被せ物が完成する日にちを間違えてお伝えしておりました。診療予約を〇月〇日にお取りしておりましたが、違う日にちで取り直しさせてください。」
この時に曖昧な表現は、避けてください。電話をした目的を濁さず明確に伝えることで、相手も理解しやすいでしょう。
③もう一度謝る:「今後はこのようなことが起こらないように努めます。本当に申しわけございませんでした。」
このように謝罪電話ではハンバーガー話法で伝えると、謝罪したい内容が明確で相手の怒りを鎮める効果が期待できます。
留守電にメッセージを残す
留守番電話にメッセージを残す時は、はっきりとした発音で正しく伝わるようにしてください。「〇〇医院の、〇〇(名前)です。〇〇の件でご連絡いたしました。また、こちらから改めてお電話いたします。失礼いたします。」というように、メッセージは簡潔に伝わることを心がけましょう。
録音できる時間は一分程度ですが、10秒前後のメッセージになるようにまとめ、医院名や名前、用件をはっきりと言いましょう。
医院から電話をするのは、緊急でない限り留守電を含めて1日2回程度にとどめるのがマナー。それ以上は日を改めるか、メールで連絡します。
また、2度目の留守電の場合は「何度もお電話をして申しわけございません。〇〇医院の、〇〇(名前)です。〇〇時頃に改めてご連絡いたします。よろしくお願いいたします。」と、メッセージを残します。
なかなか電話が繋がらないのは相手が忙しいということです。「何度も申しわけございません。」と付け加えると、あまり失礼な印象になりません。
電話慣れには注意
最初は電話応対が苦手でも、続けるうちに慣れて緊張もほぐれてきます。特に、半年経ったころに気が緩む傾向があります。そんな時期こそ、最もミスにつながりやすいので、気の緩みには注意しましょう。
また、毎日のように電話応対をしていると、次第に慣れてスムーズなやりとりができるようになってくるでしょう。それはとても良いことですが、敬語が崩れてきたり声が暗くなったり、早口になったりすることがあるので要注意です。
気の緩みからくる横着な態度は、相手に不愉快を与えてしまいます。ビジネスの場だということを意識して、ほどよい緊張感を持ってください。
まとめ
スタッフの電話応対力をあげることで、歯科医院が好印象に感じる患者さんが多いです。実際のトラブルが起きる前に、電話応対のマニュアルについてスタッフと共有しておくと良いでしょう。
また、スタッフが患者と話しているうちに新たな問題が出て判断に迷った場合は、その場で決断せず院長やスタッフに確認や相談することも伝えておきましょう。
歯科衛生士 帆保智子