スタッフや患者さんに自分の考えや治療説明をしても、相手の反応がイマイチで伝わっていないと感じることもあると思います。
そこで今回は、話を聞きたくなる人の伝え方のポイントについて紹介します。
あれもこれもと欲張るより一番伝えたいことは?
患者さんに最善の治療を提供したい、スタッフに成長してほしいという思いから、多くの提案やアドバイスをする方もいます。しかし、人は提案やアドバイスの数が多いほど、今の自分の状態を否定されていると感じる傾向があります。
また、考える選択肢が多いほど「治療法は安く済むほうでいいや」「めんどくさい歯医者だな」などと感じて、患者さんが本当にしたい選択をできないことがあります。
そのため患者さんやスタッフに伝える時には、何を一番伝えたいかを明確にし、最初に話しましょう。たとえば、定期検診の大切さを伝えたい場合は「Aさんは虫歯の治療で何度も通院して大変でしたね。大変な思いをせず済むように定期的なクリーニングがおすすめです。」と、話してから定期検診の間隔の提案をすると、患者さんも受け入れやすいでしょう。
相手に合わせる
患者さんやスタッフの年齢や性格によって、説明の仕方を変えるのがベストです。たとえば患者さんが60代の場合は、治療説明をする際にゆっくり話す、間をしっかりと取る、大切なことは2回言うなど、聞き取りやすさを意識した話し方にしましょう。
また、カタカナ語を控えて世代に関係なく伝わる言葉を選ぶといった、配慮が大切です。
名前を呼ぶ
治療説明が一通り終わった後「〇〇さんはどう思いますか?」と、意識的に名前を入れましょう。相手は「自分が考えないと!」と意識し、より自分事として会話に参加できます。
また、スタッフとの会話でも名前を呼び、質問することで「自分の意見を聞いてくれている」「関心を持ってもらえている」などと感じ、親近感や信頼感が増す傾向があります。
季節の話題で会話のきっかけをつくる
鉄板の雑談ネタといえば、季節の話題があります。深い内容になることはありませんが、いつでもどこでもオールマイティに使えます。誰もが共感しやすく無理のない季節の話題は、特に初診の患者さんや関わりの少ない新人スタッフとの雑談などで重宝します。
「そういえば、こんな景色を目にしました」「〇〇という商品が並ぶのを見て、もうそんな季節なのかと感じました」など、目にした季節を素直に話すことで、雰囲気がやわらぎ、相手も肩の力が抜けて話しやすくなる傾向です。
自分からスッと話を提供し、返ってきた相手の反応をしっかりと受け取り、また返す。その短いやりとりこそ相手の人柄や話すクセを掴んで、その人に慣れる、馴染むための大切なコミュニケーションになります。
人なつっこさの勘違いは馴れ馴れしさを生み出す
信頼関係が深まったと感じた時こそ、伝え方に注意が必要だと考えます。慣れてしまうと、雑談や質問の仕方が雑になるためです。相手にとって心地よい距離感で相手の重荷にならないかという配慮は、信頼関係に置いて大切なことです。
たとえば、小さな挨拶ひとつとっても「最近どうですか?」とざっくり聞かれても、相手からすると「え?何が?」「雑な質問だな…」と考えてしまい、結局「ぼちぼちです」ぐらいしか答えられません。
相手に会話を丸投げせず、最初から相手の好きなことや興味のあることをピンポイントで聞きましょう。映画好きな人には「どうですか?最近、映画見ました?」など、相手の好きをフックにして相手にとって話しやすい質問、つまり受け取って返しやすい質問を投げてみる。
相手が「最近見たアメリカのドキュメンタリーが面白くて」と返ってきたら「ドキュメンタリーですか、おすすめのドキュメンタリー作品はありますか?」など深掘りしてみるなど、
ただの返事ではなく、自分の好きな物をしっかり受け止めて興味を持ってもらえると、人は心くすぐられ自然と嬉しくなり、あなたの提案もしっかりと聞いてくれるでしょう。
まとめ
患者さんやスタッフに自分の話を聞いてもらうには、相手に一番伝えたいことは何か?相手に合わせた話し方をすることが大切です。ただ、初診の患者さんでは注意することも通院期間が長くなると、対応が雑になり馴れ馴れしいと感じる患者さんも少なくありません。
そのため長年の付き合いがある患者さんにも、適切な距離感での対応を忘れず丁寧な伝え方を心がけていきましょう。
歯科衛生士 帆保智子