スタッフとの面談を「問題が起きたときに行うもの」としていませんか?
面談が注意や指導の場になっている歯科医院では、スタッフは本音を出しにくくなります。その結果、スタッフの不満や不安を把握しにくくなり、気づいたときには修復が難しい状態になってしまっていることも少なくありません。最終的には、突然の退職という形であらわれてしまう可能性もあります。
一方、面談で「スタッフの状態を把握するための定期業務」として位置付けている歯科医院では、スタッフの変化が小さいうちに気づき、深刻化する前に修正できる可能性が高くなります。
この記事では、スタッフの状態を継続的に把握するための「月1回面談」の目的や実施方法を紹介します。
スタッフとの面談は問題対応ではなく経営管理
スタッフとの面談を、「問題が起きたときにすればよい」としてしまうと、スタッフは面談時に身構えます。「面談に呼ばれる=何かしたのかも?」と思ってしまうからです。このように行われる面談では、スタッフの本音は引き出しにくく、表面的なやり取りで終わってしまう傾向があります。
スタッフとの面談は、問題対応としてではなく経営管理の一部として行われるべきです。
売上や患者数などの数値は毎月確認しているでしょう。それらの数値を確認するのと同じように、スタッフの状態も定期的に確認する必要があります。
頻度は1ヵ月に1回、10~15分程度で十分です。重要なのは面談の長さではなく継続性です。長時間の面談を1年に1回行うよりも、短時間でも定期的に続ける方が、スタッフの変化を把握できます。伝えたいことが多いスタッフには、個別で話を聞く時間を設けましょう。
スタッフの変化は小さな違和感としてあらわれる
スタッフの状態を把握しようとするとき、チェックリストを用意してもそれだけで判断することはできません。遅刻や欠勤、勤務態度の変化、消極的な業務へ取り組みがあっても、単なる体調不良や一時的な私生活の事情である場合もあります。
だからこそ重要なのは、普段との比較です。普段を知らなければ、変化には気づけません。定期的に面談していると、スタッフの状態が流れとして把握できるようになります。
例えば、以前は将来の話をしていたのに、最近は触れなくなった。
前向きだった提案が減った。
歯科医院の方向性に対する発言がなくなった。
こうした変化は、継続して関わっているからこそ感じられる小さな違和感です。
スタッフの変化は、明確なサインとしてあらわれるとは限りません。大部分は、「最近なんとなく違う」という感覚として感じられます。だからこそ、定期的な面談が必要です。普段から対話を重ねていけば、その違和感に気づくこと自体が難しくなります。
そして違和感を覚えた場合は、次の定期面談を待たずにスタッフと話す機会を設けてください。時間を置くほど、本人の中で結論が固まりやすくなります。迷っている段階での対話と、すでに結論を出した後の対話では、意味が大きく異なります。
小さな違和感を放置せず、問題が深刻化する前に修正できる状態をつくることが、定期面談の役割です。
面談の実施体制を曖昧にしない
面談を定期的に実施する場合、実施体制は明確にしておく必要があります。
面談の頻度や時間を決めて、スケジュールに面談を組み込みます。また、業務時間内に行うのか、記録は残すのかなども決めておくことが重要です。
担当者は、可能であれば院長自身が担当してください。スタッフの状態は責任者が把握しておくべきです。また、面談で得た情報は、プライバシー保護の観点から、本人の了承なしに他のスタッフに伝えるべきではありません。本人の了承なく内容が他のスタッフに伝わったことがわかれば、信頼は一度で崩れます。
面談の内容でスタッフを評価してはいけない
面談の内容をスタッフの評価材料にしてはいけません。評価と混在させた瞬間に、スタッフは「何を言えば評価されるのか」を考えながらの対話になってしまいます。それでは定期面談の目的を果たせません。定期面談の目的は、スタッフの状態を把握することです。
スタッフが安心して話せるときに初めて、悩みや希望などを聞くことができます。
定期的に面談をすることで全ての問題を解決できるわけではありません。しかし、「もっと早く話し合いをしていればよかった」と後悔する場面を確実に減らすことができます。
定期面談は特別な取り組みではなく、月1回10分の管理業務です。スタッフの状態を把握する仕組みを持つことが、組織を安定させるための第一歩です。
医療ライターY.A