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親子での医院継承がうまくいかない理由について

2022.11.14

親子での医院継承を理想としている方は、多くいらっしゃいます。
実際に、親子2代、場合によっては3代続いている歯科医院も中にはあります。
親子で医院継承を行うことで、スタッフや患者さんをそのまま引き継ぎ初期投資を抑えられるというメリットがあります。
ですが、実際に親子での医院継承を行ってスムーズに継承できるケースは少ないのが現実です。
今回は、親子での医院継承がうまくいかない理由についてお伝えしていきます。

▼親子での価値観が異なる

親子での医院継承がうまくいかない理由で、一番多いのが親子での価値観の違いによる対立です。
昔は、歯科医師が患者さんを教育し、治療法を選ぶという時代でした。
それに対し、今は、スマホやパソコンを使いインターネットで検査をして、患者さんが歯科医院を選ぶ時代です。
そのため、患者さんのニーズを聞き取り、それに対して治療を行わなくては、患者さんが離れていってしまいます。
そういった点での根本的な認識のズレが問題を起こしているケースは多くあります。
また、親子として接していても、同じ職場で働いた経験はないので、実際に働くと細かい部分での意見のすれ違いから衝突をする場合もあります。

▼開業当時に比べ立地が悪くなっている

医院経営には立地が大切です。
どんなに良い治療を行っていても、通う人の足腰が悪くなって通えなくなってしまったり、人通りのない場所で新規患者さんを獲得できない立地ですと経営を続けるのは難しいでしょう。
住宅地や商店街など、開業当時は好立地だったものの、年月が経つにつれ、住宅地は高齢化が進み、周囲に大型ショッピングセンターが出来た結果、人の流れが変わってしまうこともあります。
立地の悪い場所で、医院継承を行うよりも、思い切って移転したほうが良い場合もあります。

▼元からいるスタッフと問題が起きる

医院継承をした後に、元からいるスタッフと問題が起きる場合も多くあります。
医院継承後は、医院をより長く継続するために、最新の治療法を取り入れる、カルテや予約システムの電子化、新規顧客のためにSNSを活用など、色々と変化をする必要があります。
一方、既存のスタッフは、変化を嫌う傾向にあります。
変化をしていこうとする新院長と変化を嫌う既存スタッフの間で意見は衝突し、結果、既存スタッフの半数が退職をするというケースも珍しくありません。
既存スタッフの退職にともない、リコールで通っていた患者さんを失ったり、新規スタッフの雇用や教育に対するコストもかかります。
変化をする場合には、なぜ変化をする必要があるのかをスタッフに事前に説明し、納得してもらうことが大切です。

▼設備が古く予想よりも初期費用がかかる

医院継承をする場合のメリットとして、開業に比べて費用を抑えることができるという点がありますが、意外と費用がかかる場合も多いです。
レントゲンをデジタル化、診療室に仕切りを作る、デジタル化に伴いモニターの導入、老朽化したユニットも新しいものにする必要があるなど、数十年診療を続けるためには色々と手を入れる必要があります。
新規オープンより費用はかからないとはいえ、1000万円以内に収まることは難しいでしょう。そのため、ある程度の借り入れをして設備を整えるとして、今までの立地や患者さん層でどの程度回収できるかを厳しくみておいたほうが良いでしょう。

▼まとめ

親子での医院継承がうまくいかない理由についてお伝えしてきました。
親からすれば子供が後を継いでくれるのは嬉しいですし、子供からしても医院継承のメリットはあります。
親子での医院継承を考える際には、デメリットも知った上で、新規オープンにするのか、それとも引き継ぐのかを考えていただければと思います。

歯科医師 K.A.

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