先生は、どの患者さんにも同じような話し方で説明をしていませんか?
しかしそれでは、自費治療を選ぶ患者さんが少ないかもしれません。
患者さんによって話し方を少し変えるだけで、自費率がアップする可能性があります。
とはいえ、話し方を患者さんによって変えるのは難しそう…と感じる先生もいると思います。
そこで今回は、簡単にすぐできる”2つの話し方”について紹介していきます。
1 クライマックス法とアンチクライマックス法
自費治療を選んでもらうには、相手を納得させることが大切です。
話に興味を持ってもらい相手を説得するときは、次の2つの話し方が効果的です。
①クライマックス法
②アンチクライマックス法
それぞれについて、詳しく解説していきます。
①クライマックス法
クライマックス法は、一番に伝えたい部分(結論)を最後にもってくる話し方です。
この話法は、最後までしっかりと話を聞いてほしい場合や、患者さんがこちらの話に興味をもっているときが適切でしょう。
②アンチクライマックス法
アンチクライマックス法は、一番に伝えたい部分を最初にもってくる話し方です。
この話法は、次のような患者さんに効果的です。
・論理的、合理的な会話を求めている人
・親しい関係ではなく、こちらの話を聞いてくれそうにない人
・初対面の人
2 話し方は患者さんによって使い分ける
クライマックス法とアンチクライマックス法は、使い分けが大切です。
話し方を間違えると患者さんに不快感を与えたり、来院が途切れるきっかけになったりするからです。
ここでは、2つのケースを紹介していきます。
①男性か女性か
男性は、アンチクライマックス法。
女性はクライマックス法を好む、と言われています。
男性は論理的・合理的な考えをする人が多い傾向があります。
結論を最初に伝えない場合には、「何が言いたいのかわからない」と不快感を強めたり、話を途中で遮られたりする可能性があります。
特に仕事が忙しい方は、時間に厳しい一面があります。
ダラダラと結論を先延ばしにするクライマックス法で説明をすると、「説明が長すぎる!時間がもったいない!」と感じて、来院が途絶えるきっかけにもなりやすいでしょう。
そのため男性やビジネスマンの場合は、「〇〇さんには▲の材質の被せ物がおすすめです。なぜなら〜」というように選んでほしい物を先に伝えて話すと、相手に好印象を与えやすいです。
一方で女性は、感情を大切にする人が多く、クライマックス法が適切です。
クライマックス法では、展開のある話をしながら結論を最後にもっていくことで、相手を楽しく明るい気持ちにできます。
例えば、入れ歯かインプラントのどちらかの治療法で悩んでいる女性には、次のように伝えるといいでしょう。
「〇〇さんは、インプラント手術が怖いのですね。確かに手術と聞くと不安や怖さを感じますよね。手術前には麻酔がしっかりと効いているのを確認してから行うので、痛みはほとんどありません。手術時間も約15〜30分と短いです。気づいたら終わっていたと感じる患者さんがほとんどですよ。
もうひとつの入れ歯の治療は、定期的に作り直しが必要だったり、他の歯に負担がかかったりするので健康な歯が多く残っている〇〇さんには、あまりおすすめできません。他の歯の健康を守るためにも、〇〇さんにはインプラント治療がおすすめですよ。」
このように患者さんが、自費治療を迷っている理由に寄り添いながら提案をすると、患者さんの感情や思いを大切にしているのが伝わり、おすすめされた治療法を受け入れやすくなります。
②相手との信頼関係の度合い
信頼関係を構築していない相手に、クライマックス法で長く説明すると途中で話に興味を失ってしまい、おすすめしていない治療法を選ぶ傾向があります。
特に初診の患者さんの場合は、アンチクライマックス法で伝えると最後まで話を聞いてもらえるでしょう。
一方、院長の話を前向きに聞いてくれたり、良好な信頼関係を築けていたりする患者さんにはクライマックス法が効果的です。
この場合は、しっかりと最後まで話を聞いてくれるため、順序立てて説明をすることで説得力が増し、おすすめする治療法を選ぶ傾向があります。
3まとめ
患者さんに説明をするときには、次の2つの話法がおすすめです。
・クライマックス法
・アンチクライマックス法
一番伝えたいことを最初、または最後にもってくるのかで、相手があなたにもつ印象が変わってきます。
患者さんとの信頼関係や男女によって話し方を使い分けて、相手に好印象を与えながら自費率を上げていきましょう。
歯科衛生士 帆保智子