働き方改革が叫ばれる昨今、歯科医院もその例外ではありません。
以前ですと、19時を越えて営業する歯科医院も多くありましたが、最近では珍しくなりつつあります。
新たに開業する歯科医院でも、18時で診療時間を終える歯科医院も多くあります。
診療時間を短くしようと思っているけど、なかなか踏み切れない。
そのような先生方は多いかと思います。
今回は、診療時間の短縮がもたらすメリットについてお伝えしていきます。
▼診療時間を短縮しても、売上は変わらない
診療時間の短縮に踏み切れない一番の理由は売上かと思います。
結論から言いますと、診療時間の短縮、特に、診療終了時間の前倒しは売上にそれほど影響が出ることはありません。
実際に、計算してみるとわかるのですが診療終わりの時間を30分ほど短くしてもそれほど売上はかわりません。
遅い診療時間の患者さんは、働いている方や学生の方が多いため、キャンセル率も高かったり、リコール移行率が低かったり、と長期間で見るとそれほど数字には関係しない場合も多いからです。
売上が変わらないどころか、診療時間短縮によって削減される人件費などを考慮すると、利益が増える場合もあります。
▼最大のメリットは人材の確保
診療時間短縮の最大のメリットは、人材確保です。
近年、働く側の意識は賃金よりも働きやすさを重視する傾向にあります。
診療時間を短くするだけで、同じ地域の他の歯科医院よりもアピールできます。
平日は17時まで、日曜祝日は休み、土曜は午前中のみ診療という歯科医院は普通になりつつあります。
今働いているスタッフも、働きやすい他の歯科医院に移ってしまう可能性もあります。
継続的に人材を確保する、また人材の流出を防ぐためにも、診療時間の短縮を考える必要はあるでしょう。
▼効率的に診療を行うようになる
診療時間を短縮することで、限られた時間で効率的に働く必要性が出てきます。
限られたアポイントの枠で患者さんに対して、治療の質を落とさずに医療を提供すればよいのか、医院全体で見直すきっかけになります。
歯科医師や歯科衛生士が診療を効率的に行うことはもちろん、その他スタッフも自分が何をすればよいのか、を考え意見を交換しましょう。
経営者であれば当然のことですが、従業員からすると、『診療時間の短縮』が仕事を見直す良いきっかけになります。
▼無理なく働ける環境を作ることが重要
長期間にわたって安定した医院経営を行うために、スタッフや院長先生が無理なく働ける環境を作ることが重要です。
開業当時や、経営が軌道に乗るまでであれば、診療時間を長く取ることで集客につながるので良いのですが、長期間そのような働き方をしてしまうと、スタッフが離職してしまったり、院長先生に時間の余裕がなくなったり、してしまう恐れがあります。
歯科医院を長期間、安定して経営する、また、医院の規模を拡大する場合には、院長を含めたすべてのスタッフが無理なく働ける環境が必要です。
経営が軌道にのったら、診療時間も含めた働き方を柔軟に変化していくことを考えてもよいかと思います。
▼まとめ
診療時間の短縮がもたらすメリットについてお伝えしていきました。
人材の確保や効率的に働くように業務を見直すようになる、など診療時間の短縮には数多くのメリットがあります。
診療時間を長く体力の続く限り頑張って働く時期も大切ではありますが、時代の流れもあり、院長先生やスタッフが無理なく長期間働ける医院にする必要性が今後も高まっていくことが予想されます。
歯科医師 K.A.