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視覚化で患者さんが納得!リコール率アップに効果あり

2021.07.19

歯周病という疾患は歯科の2大疾患です。
予防歯科の普及によってう蝕大洪水時代は終わり、治療数は全盛期と比べるとかなり減少しました。

一方で、歯周病は30代以上の8割がかかっている生活習慣病です。
治療を必要とする患者さんは多く存在しており、まだまだ伸びる分野です。

しかし、実際はどうでしょうか。
歯周病なのに放置し、定期的な歯周病検診に通院する患者さんは少ないです。

その要因は多岐にわたりますが、大きな要因として「歯周病の怖さを視覚的に理解していない」ことが挙げられます。

そこで今回は、歯周病患者さんのリコール率を上げるために必要な歯周病検査の視覚化についてご紹介していきます。

1.歯周病検査は写真で視覚化

歯周病検査は、歯周病患者さんには定番で行われます。
紙に記載してどういう状況かを説明している歯科医院も多いです。

残念ながら、患者さんは説明の紙だけもらっても、痛みがなくなってしまえば通わなくなってしまう方も多いです。

患者さんのモチベーションには様々な要因がありますが、その1つに「危機感のなさ」があります。

歯周病と診断され、「歯が抜けてしまう病気」だと歯科医院で説明を受けても、現状痛みはなく、歯も抜けてないので危機感がありません。
自分の口の中ではあっても、重度の歯周病患者さんほど自分の歯の状態を把握していません。

そこで行ってほしいのが、歯周病検査の視覚化です。

歯周病検査後、特に歯周ポケットが深かった部位、出血、動揺が大きい部位をピックアップして口腔内写真を撮影しましょう。
全体ではなく、歯周病検査の結果、最も重症な部位だけでかまいません。

その写真を見るだけでも、患者さん自身に危機感を持たせることができます。
歯周病検査全ての部位を写真でピックアップするのは難しいですが、特に重症化している部位のみを写真でピックアップしていきましょう。

2.ビフォーアフターを見せよう

歯周病検査後、通ってもらうたびに毎回、口腔内写真を撮影する歯科医院も多いはずです。

毎回の変化は少なくても、初回と2回目には大きな変化があります。
特に歯石が縁上も縁下もこびりついている患者さんでは、2回目の状態では大きな変化があります。

その写真を患者さんにみてもらうだけでも患者さんは驚きますし、より良い状態に改善したいという気持ちが強まります。

また、別の患者さんの症例で重度の歯周病から、健康な歯茎に改善した症例を説明ツールとして用いるのもおすすめです。
自分と同じように重度の歯周病でも定期的に通うことで、健康な歯茎の状態を取り戻すことができるということが理解できます。

さらに、定期的に通わずに放置してしまった患者さんの症例もあわせて紹介するといいでしょう。
そのまま放置すると、ブリッジ治療もできなくなり、最終的に義歯になってしまったという患者さんは大勢いるはずです。

患者さんのモチベーションを維持させるためにも、患者さん自身のビフォーアフターはもちろん、プライバシーに配慮した上で、他の症例に関しても紹介するといいでしょう。

3.記録を残していくことで歯科衛生士のモチベーションもアップ

患者さんが定期的に通うためのモチベーションアップにつながる歯周病検査ですが、これは歯科衛生士のモチベーションも合わせてアップさせることができます。

特に、担当制を実施している歯科医院では、歯科衛生士が担当患者さんのメインテナンスを行うため、患者さんの歯周病が改善すれば歯科衛生士の仕事のモチベーションもアップします。

なかなか歯周病が改善しない場合でも、視覚化しておけば後で歯科医師や先輩歯科衛生士がどんな補助器具や歯磨剤、歯ブラシを使えばいいのかをアドバイスすることもできます。

歯周病検査の視覚化はこのように歯科衛生士自身のモチベーションや技術の向上にもメリットがあります。

口腔内写真を毎回撮っていないという歯科医院は、まずは歯科衛生士に口腔内写真を撮らせてみることからはじめてみてくださいね。

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