現代はメールやラインなどの連絡ツールを使用している医院も多いですが、いまだに電話は歯科医院に欠かせないツールです。
とはいえ、日常は文字でのやり取りが多い中、電話対応が苦手というスタッフも少なくありません。
また、電話対応は歯科医院の印象を左右することもあり、間違った対応をすると医院の評判を下げることにもなりかねません。
そこで今回は、電話に上手く対応するコツを解説していきます。
今回は特に歯科医院でよくある「患者さんにアポイントを変更してもらうケース」と「電話のクレーム対応のケース」について紹介していきます。
電話対応の印象を良くしたい院長先生は、是非この記事を参考にしてください。
電話でアポイントを変更してもらう
アポイントを取った後、やむを得ず患者さんに予約変更の電話をかけるケースもあると思います。
言葉遣いによっては、患者さんが不快に感じてトラブルに発展する可能性も少なくありません。
患者さんにアポイントを快く変更してもらうためにも、丁寧な電話対応を身につけて起きましょう。
また、アポイント変更は相手の負担を減らすために日程変更の連絡は早めにするのが基本です。
患者さんを不快にさせずにアポイント変更をする電話対応は、以下の通りです。
①まずは謝罪をする
患者さんが電話に出て、医院名と名前を伝えてからは次のように伝えます。
「大変申し上げにくいのですが、11月11日12時からの診療のお日にちを変更させていただけませんでしょうか?」
こちらの都合で日にちの変更を頼んでいるので、丁寧に伝えるのがポイントです。また「誠に申し訳ございませんが」というフレーズから始めてもOKです。
②日時を決める
謝罪をした後は、日時を決めていきます。
スタッフ:「勝手を申しまして恐縮です。来週の11日以外のご都合はいかがでしょうか?」
患者さん:「では、13日の金曜日はどうですか?」
スタッフ:「ありがとうございます。13日の金曜日のお時間は12時でよろしかったでしょうか?」
患者さん:「はい、大丈夫です。」
③再度謝罪をする
医院側のやむを得ない事情のせいだとしても、予定を快く変更してくれた相手に対してもう一度、お詫びを伝えます。
スタッフ:「承知しました。では、13日の金曜日の12時にご予約を変更させていただきます。この度は私どもの都合で日時を変更していただくことになり、誠に申し訳ございません。どうぞよろしくお願いいたします。」
④電話を切る
電話を切るまでも、相手への感謝の気持ちを忘れず丁寧な対応を心がけましょう。
スタッフ:「お忙しいところお手数をおかけいたしました。誠にありがとうございました。」
電話を切った後、連絡ツール(メールやライン等)があれば、日時の変更を送って起きましょう。文面は電話と同じく、お詫びから始めると相手への印象が悪くなりにくいです。
電話でのクレーム対応
電話のクレーム対応は、スムーズに解決させる流れがあります。それは相手の気持ちを尊重しながら要望を整理し、解決策を提案すること。ゴールは相手が納得してくれること。の2つです。
このことを意識しながら、次のようにクレーム対応をしていくのが基本です。
①お詫びをする
どのようなクレーム対応にも、まずは謝罪の言葉から始めます。こちらに非がある場合は「誠に申し訳ございません。」
どちらに非があるかわからない場合には「ご不便をおかけして誠に申し訳ございません。」と言った謝罪の言葉から始めましょう。
どちらに非があるのかわからないケースでは、電話をかけるという手間をかけさせてしまったことについて、しっかりと謝ると相手の怒りを少し和らげる効果が期待できます。
②話を聞く
お詫びをした後は相手の言い分にしっかりと耳を傾けましょう。不快に思っていることを全て話してもらいます。
決して話を遮ることなく、適度に相槌(あいづち)を打ちながら聞くのがポイントです。
また、話を聞いている中で相手の不満や本音が大きくなった瞬間に「おっしゃる通りでございます。」「お気持ちはよくわかります。」などの言葉を言いながら相槌をうちます。相手の思いに共感する姿勢を示せば、不満や怒りも和らぎます。
逆に、相手の言葉を遮るような相槌「はいはいはい」や曖昧な相槌「えー、はあ…」は相手の逆鱗に触れてしまう可能性もあるので注意しましょう。
③状況・詳細を確認する
「どのような内容かお話をお聞かせいただけますか?」と患者さんの怒っていることを聞く準備ができていることを伝えましょう。
しっかりと話を聞き、相手の言い分を正確に把握するために、メモをとります。メモを取ることで、曖昧な点やおかしい点に気づくことがあるためです。
相手がどんなに強い口調で迫ってきても、冷静さを忘れずにメモをするのがポイントです。
また、相手の主張が要領を得ない場合には「恐れ入りますが、お話を一度整理させていただけますか?」というような低姿勢で詳しく確認していきます。
④解決策を提案する
相手の話を最後まで聞いた後は状況を整理して、こちらから解決策を提案します。
解決策がわからないときは「確認いたしまして、折り返しお電話させていただきます。恐れ入りますがお名前とご連絡先をお聞かせいただけますでしょうか?」というように、院長や他のスタッフから折り返しをするように伝えましょう。
また、何を言っても納得してもらえない時は「私ではわかりかねるため、院長に代わります。少々お待ちください。」と伝えて、待ってもらいましょう。
院長や担当責任者に電話を代わる対応をエスカレーション対応といいます。電話を代わっている間に相手の興奮が落ち着いて、解決を早める効果が期待できます。
⑤電話を切る
相手に提案を受け入れてもらい、納得してもらったら対応は終了。最後まで誠実さを持ちながら感謝の気持ちを伝えて、電話を切ることができるのが理想的です。
クレームを入れた患者さんに来院してもらうためには?
クレームを入れた患者さんの中には、その後来院しないことも少なくありません。クレームは決して悪いことではなく医院を良くする場合も多く、本音を伝えてくれる患者さんは医院にとっても必要な存在です。
クレームを入れた患者さんに引き続き来院してもらうためには、最後に次の3つのことを伝えましょう。
● 勉強になったことを伝える
「この度は貴重な意見をありがとうございました。私〇〇が確かに承りました。」と名乗ることで信頼を持ってもらえる傾向があります。
● 感謝を述べる
「いただいたご指摘はとても勉強になりました。ありがとうございました。」と感謝の気持ちを伝えましょう。感謝を伝えることで、相手の罪悪感を無くして来院する前向きな気持ちにする効果が期待できます。
しかし、クレーム内容によってはお礼を伝えることが、そぐわないケースもあります。そんな時は「今後はこのようなことが無いように注意します」と反省の言葉を伝えましょう。
● フォローする
「私は〇〇と申します。ご不明な点などがありましたら、私までご連絡いただければと思います。今後とも、よろしくお願いいたします。」
このフォローの言葉があるだけで、患者さんは「これからも通ってもいいんだ」と安心する効果があります。
まとめ
顔が見えない電話だからこそ、対応が良ければ「この歯医者は信頼できる」と思う患者さんも少なくありません。
しかし、クレーム電話の対応を間違ってしまうと、医院の評判を下げてしまう可能性もあります。
声でしかコミュニケーションを取れない電話こそ、誠実に丁寧に対応することが大切です。電話対応を見直して、声から素敵な医院を表現していきましょう。
歯科衛生士 帆保智子