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相手の本音を引き出すヒアリング方法

2024.05.27

スタッフや患者さんから本音を聞けないのは、信頼関係が築けていないこともひとつの要因ですが、質問に問題がある可能性が高いです。

今回は、相手の本音を引き出すヒアリング方法について紹介していきます。

相手が思わず本音を話したくなる切り出しかた

ヒアリング方法を知る前に、まずは会話をする準備をしましょう。いきなり「あなたの本音を教えてください。」と言うと、相手が身構えてしまうため、最初の質問を投げかける前になるべく相手の警戒心を弱めておく必要があります。

次の2つのことが、相手の警戒心を弱める手段として効果的です。

・相手にとって有益な情報が得られる期待感をもたせる
・相手の感情に寄り添う言葉をかける

例えばスタッフに対しては、「〇〇さんは、日頃からよく頑張っているよね。本当に大変だよね。」といった、スタッフの感情に寄り添う会話から始めましょう。

痛みのある患者さんの場合には「痛いですよね。よくここまで頑張りましたね。」というように感情に寄り添うと、相手の警戒心が緩んで、心を開きやすいでしょう。

ただ、患者さんへの治療説明のときには自分も何かを与えられるという「ギブアンドテイク」のスタンスを示すと有効です。
例えば「今日お伝えすることは、〇〇さんの現在のライフスタイルにあった治療法の提案です。」などと、可能な範囲で期待感を持たせる会話からか始めると、相手は「自分のことをしっかりと考えてくれている。」と感じて、院長の話をしっかりと聞いてくれるでしょう。

また「今日はゆっくり、お話ししましょう」といった言い方も「歯のこと以外も、話していいんだ。」と安心感を与えるので、本音を引き出しやすくなります。

本音を引き出すヒアリングの方法

ここからは、相手の本音を引き出すヒアリングの方法について紹介します。
相手の発したキーワードを含んだ質問をする
院長から質問をする時には、必ず相手の答えに含まれていたキーワードを繰り返しながら会話を続けて下さい。相手の発したキーワードを拾い、それをオウム返しのように繰り返しながら次の質問をします。

なぜ、相手の発したキーワードを含んだ質問をするのか?それは、相手の話を聞くには相手が使った言葉の正しい意味を知る必要があるからです。

人が発する言葉は、その人が伝えたい意図や情報のうちの、ごく一部にすぎません。発した言葉の背景には、膨大な省略された言葉があるのです。

例えば、院長がスタッフに「あの案件はどうなった?」といった質問には”何の案件なのか”が省略されています。聞いたスタッフによっては、問われる案件の内容を勘違いしてしまうかもしれません。

また、同じ言葉でも人によって感じるイメージが違います。人生という言葉を聞いて、今までの人生を苦なく生きてきた人には、ポジティブに聞こえますが、辛いことが多かった人にとってはネガティブな言葉に聞こえる可能性があります。

他にも、相手が発したキーワードを使って次の質問をすることで、相手は違和感を覚えることなく心を開きやすい傾向があります。その上で「この言葉の意味は何ですか?」とその意味を明らかにする質問を何度も重ねていくことで、相手の発言の背後に隠れている本音を引き出していきます。

次からは、ヒアリングの具体例を交えて見ていきましょう。

例えば、院長が仕事への満足度をスタッフから聞き出したい場合には、次のようにヒアリングしましょう。

院長「今の仕事はどんな感じですか?」①
スタッフ「とてもやりがいを感じています。」
院長「やりがいは、どんなことで感じましたか?」②
スタッフ「新しいことにチャレンジできて、仕事の幅が広がりました。」
院長「どのように仕事の幅が広がったのですか?」③
スタッフ「患者さんに喜ばれることが増えました。」
院長 「実際にどんなチャレンジができましたか?」④
スタッフ「患者さんに対して、さまざまなアドバイスができることです。自分のアドバイスが患者さんに合っていて喜ばれたときには、この仕事をしていてよかったと思いました。」

下記からは、番号に沿って解説していきます。

POINT① まずはキーワードを含めない、漠然とした質問をします。
「仕事は充実していますか?」だと、相手は充実という言葉に沿った答え方をしなければと思い、本音がでてこない可能性があります。
また、院長のスタッフに充実感を感じてほしいという思いから「仕事は充実していますか?」という聞き方をしがちですが、相手にとっては押しつけの言葉になりかねません。

POINT② 「やりがい」という言葉を拾い、また漠然とした質問をします。

POINT③ 「チャレンジ」と「仕事の幅」の2つのキーワードがでてきたので、まずは片方を拾って質問を続けます。
複数のキーワードがでてきた時には、質問者が興味をもてて、話しを展開しやすいほうを選んで質問しましょう。

POINT④ 回答がただの事実で価値観からは遠いので、次のキーワードの「チャレンジ」に切り替えて質問します。
本音を引き出すためには、相手の価値観に繋がる回答を引き出すことが近道です。この時の「患者さんに喜ばれることが増えました。」というのは事実を答えているだけで、スタッフの思考や価値観が表れていません。

ポイント⑤価値観に迫る回答を引き出せたので、目的達成です。この会話から、このスタッフは自分でチャレンジをして成果をだすことにやりがいを感じているようなので、今後もそんな体験に繋がるような仕事を積極的に任せると、成長や成果に繋がりそうなことがわかります。

まとめ

スタッフや患者さんの本音を引き出すにはヒアリングの仕方が大切です。
本音を見逃してしまうと、今まで築き上げてきた信頼を失うきっかけになることもなりかねません。今回紹介したヒアリング方法を身につけて、患者さんやスタッフの本音を理解して、さらに信頼関係を深めていきましょう。

歯科衛生士 帆保智子

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