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スタッフが行動するためのコミュニケーション術

2024.06.24

「医院全体や個人の目標が、なかなか達成できない…」「スタッフが報・連・相(報告、連絡、相談)」をしてくれないと、悩んでいる院長も少なくありません。
スタッフが行動しないのは、院長に関係ないように思いますが、お互いのコミュニケーション不足で起きている可能性が高いです。

そこで、今回はスタッフが行動するためのコミュニケーション術を紹介します。

確実に行動するために必要な「2つのコミュニケーション」

スタッフが確実に行動するには、次の2つのコミュニケーション術が効果的です。

①バッドニュース・ファースト
②方針は数字で示す

それぞれについて詳しく解説していきます。

①バッドニュース・ファースト

バッドニュース・ファーストとは、悪い情報は隠さずオープンにすることです。トラブルがおきた時には、応急処置を施すだけで何事もなかったかのように、仕事に移るのが一般的です。

その場をしのぐことはできても、後で重要なトラブルに繋がることも少なくありません。
人間の心理からすると、失敗や悪い情報はあまり外にだしたくないと思う傾向があります。

失敗したことを知られれば恥ずかしいし、院長や主任から叱られるのを怖がるスタッフも多いため、知られないようにその場を取り繕ってなかったことにしようとします。


例えば、患者から治療後に歯が痛いと、主訴があったとします。スタッフが「大きな問題ではない」「院長に怒られるのが嫌」という心理が働いて「申し訳ございませんでした。今回の歯の治療後は痛みがでるかもしれません。少しずつ落ち着いてきます。」と言ってその場を収めた場合はどうでしょうか?

何も対策をとらず、もし同じようなトラブルが発生した場合には患者から「また痛みがでたぞ!」と信用を失い、来院しない可能性も否定できません。
この場合、すぐ院長に報告していれば、他のスタッフも巻き込んで同じトラブルを起こさないための対策がとられていたはずです。

正直に失敗を報告すれば、周りからは「信用できる」という評価に繋がります。ただし「早く報告しろ」だけではスタッフは重いニュースを報告しようとしません。

問題が発生した時に院長が取る行動は「待つ」と「感情的にならない」ことです。例えば、問題が発生してスタッフがバタバタしてきても決して自分から「どうした?」とは聞きません。
いつもと変わらない穏やかな様子で、スタッフからの報告を待ちます。スタッフがようやく報告のために近づいて来た時に「どうした?」と聞きます。スタッフの説明を静かに聞き「ありがとう。よくここまで頑張ってくれた。
ただ、次からはもう少し早く相談してほしい。」とだけを伝えましょう。

院長もどんな問題が起きているか気になると思いますが、報告を急き立てず、報告内容に「何でそんなことになったんだ!」と激怒することもなく、強い意志でスタッフからの報告を待つのが大切です。

トラブルが起きても大丈夫だと、相手に安心感をあたえることで、次のトラブルの時も院長に報告するようになります。

②方針は数字で表す

歯科医院によっては、今後の経営方針や経営計画などがあると思います。しかし、多くの場合「顧客満足を徹底しよう」「業界ナンバーワンを目指そう」といった類の単なるスローガンで終わることもあります。

方針を示したつもりでも、十分に伝わっていない、結局なにも実行に移されないというケースも少なくありません。計画を確実に実行するには方針を明確にすることが必要です。
院長から「こうしよう」「ああしよう」といっても具体性をともなっていなければ、スタッフは何をすればいいのかわからずなにも実行できません。

そのため「毎月の新患を10人増やす」「リコール率を20%上げる」と数字で具体的に表すとよいでしょう。方針を具体的にすることで人は、その方針を実現するために自分は何をすればいいのかを考えられるようになります。

先を見通すには、考える力が必要です。その力を備えるためにも、数字で具体的に方針を示してひとりひとりに考えさせることで、目標に向かって行動するようになるでしょう。

まとめ

スタッフが自分から行動をするようになるには、院長との関係性が大切です。特に、スタッフが自分の失敗やトラブルなどを院長に報告するのは、緊張して言いづらいことです。そういった言いにくいことでも、院長に伝えやすい雰囲気や環境を作りだすことで、スタッフは自分で考えて行動するようになるでしょう。

歯科衛生士 帆保智子

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