歯科医院経営を行っていく上で、人件費の割合を把握し適正な範囲内に収めることは重要です。
人件費率を把握してはいても、どのような意味を持つのか、そしてどの医院でも理想的な人件費率は同じなのか、といったことまで理解している先生は少ないのかと思います。
今回は、歯科医院経営における人件費率について考えて見ましょう。
▼人件費を意識して経営しましょう
医院経営において、人件費は最大の経費です。
どのくらい人件費をかければよいのかは、人件費率で考えるのが一般的です。
人件費率には、「売上高人件費率」と「売上総利益人件費率」の2種類がありますが、医院の現状を簡単にみるには「売上高人件費」を見ると良いでしょう。
売上高人件費(%):人件費÷売上高×100
歯科医院における適正な人件費は、約20%が適正(法人であれば25%程度)と言われます。
年商が5000万円程度の歯科医院であれば、人件費は1000万円程度という計算です。
▼適正な人件費率は医院によって異なる
前述した通り、歯科医院における適正な人件費は、約20%が適正(法人であれば25%程度)と言われますが、実際は医院ごとに異なっても構いません。
開業したばかりの医院であれば、売上がまだ低いため人件費率は高くなりますし、自費率が高く人材一人あたりの売上が高い場合には、人件費率は低くなります。
重要なのか、理想的な人件費率を求めるのではなく、現段階の医院における適正な人件費率はどのくらいなのか、を考えることです。
▼人件費削減ではなく売上を伸ばしましょう
医院の人件費率が高い場合、まず一番に考えるのは人件費の削減かと思いますが、売上を伸ばすことで人件費率を下げるようにするほうが良いでしょう。
不要な残業の削減や業務の効率化を図り、人件費を削減することは重要ですが、あまりにも人件費削減ばかりに注目するのは得策ではありません。
小規模経営が基本の歯科医院では、人件費の削減は、院長先生の本人がスタッフの働き方や業務を確認し改善する必要があるので、ただでさえ忙しい院長先生の負担が増えるからです。
いくら人件費を減らしても結局は売上をしっかりと立てるという部分は避けては通れないので、まずは可能な範囲で売上を伸ばしましょう。
▼人材に投資をする
▼人材に投資をする
歯科医院は小売業や製造業と異なり売上を作り出すのは人材です。
なので、よい人材を確保し継続的に働いてもらうためにはある程度人件費をかける必要があります。
スタッフが足りず、ユニットを充分に活用できないと日々の売上が伸びません。
歯科医師や歯科衛生士は、求人をかけても採用するのが難しいのが現状です。また、新しいスタッフが稼働するまで教育コストもかかります。
人件費を気にするのも良いのですが、人材に投資する、という意味で給与面含め待遇を良くして既存のスタッフに長く働いてもらうことは安定した経営において重要です。
その場合は、人件費が適正な比率かどうかに限る必要はないでしょう。
▼まとめ
人件費の適正な比率についてお伝えしてきました。
人件費率は20~25%が適正な範囲ですが、医院の成長期や人材に対して投資をするという考え方の場合は、それよりも多くても構いません。
また、人件費を考えすぎるのは健全ではないので、最低限把握する程度にし、売上をしっかりと立てるという考え方を持つと良いでしょう。
歯科医師 K.A.