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チームのためのヘルプシーキング

2024.12.30

ヘルプは「助け」シーキングは「探し求める」という意味です。ヘルプシーキングとは何かの問題に直面した時に1人で解決するのではなく、周りから援助や支援を求めながら仕事を前に進める力のこと。

しかし、日本人は与えられた仕事は1人で成し遂げないといけないと責任感が強く、人に助けを求めるのが苦手な傾向です。困った時に1人で抱え込まず、チームメンバーに助けを求めることはチーム力を高める効果が期待できます。

そこで今回は、ヘルプシーキングについて解説します。

ヘルプシーキングに必要な3つの要素

ヘルプシーキングは、次の3つの要素で成り立っています。

● ヘルプシーキングしやすい「環境」
● ヘルプシーキングできる「スキル」
● ヘルプシーキングを促す「仕組み」

上記の3つが整っていないとヘルプシーキングは成立しません。それぞれの内容について詳しく解説します。

ヘルプシーキングしやすい「環境」

困っている時や困る前に助けを求めやすい環境を整えることは、ヘルプシーキングの大前提になります。たとえば、次のような医院はヘルプシーキングが起きにくく、離職率が高い職場である傾向です。

● 無反応・無愛想
● 意見を言うと批判・否定される
● 馬鹿にされる・下に見るような態度を取られる
● ヘルプの声をあげる場やきっかけがない

上記のような環境ではヘルプの声は上げられず、問題やトラブルが大きくなる可能性があります。ヘルプシーキングが起こりやすい医院には、院長を含めスタッフメンバーがお互いにリスペクト(敬意)があります。

リスペクトは、日々の言動や行動で育てられるもの。たとえば、仕事をスタッフに頼むときは仕事のやり方や意思決定は任せましょう。

ただし、何か困ったことがあれば相談することを明確に伝えることも忘れずに。その他にも褒める、自己開示(苦手なこと、これからチャレンジしたいことなど)、感謝するといった行動や言動はお互いの関係性をより良くします。

ヘルプシーキングできる「スキル」

環境の次のステップは、個人がヘルプシーキングできるスキルを磨くことが必要です。周りの人に困っている内容を正しく伝え、適切な助けを得る力が求められます。

たとえば、助けを求める時に「全部がわかりません」と言われると、相手はどう手助けしていいのか難しく、解決まで時間がかかることも少なくありません。

助けを求める際は、仕事の全体像を示して「自分はここで困っている」と明確にした上で「納期日を2日延ばすことはできませんか?」「参考になりそうな書籍を教えてくれませんか?」と伝えることが大切です。

ヘルプシーキングを促す「仕組み」

スタッフがヘルプシーキング行動をしやすくするには、組織の仕組みづくりが必須。個人のスキルが高くても、声を上げる場所や手段がなければヘルプシーキングは起こりにくいのです。

職場でのコミュニケーションは、大きく分けて「日常的なコミュニケーション」と「非日常的なコミュニケーション」があります。日常的なコミュニケーションは、週や月ごとに行われる定例ミーティング。

メンバー全員が集まる場で1人1人が、自分の課題や状況などを共有することで困りごとも共有しやすい傾向です。また、院長とスタッフ1人だけの1on1ミーティングが不定期にあると、院長とスタッフの距離が縮まって声を上げやすくなります。

いっぽうで、非日常的なコミュニケーションはビジネスチャットのこと。医院によってはグループチャットを、導入しているところも少なくありません。

ビジネスチャットは、即時のコミュニケーションが可能です。意思表示をスタンプで手軽にできて、堅くなりすぎない点がメリット。困りごとを相談しやすい雰囲気を、作り出しやすい傾向です。

まとめ

普段からスタッフの強みや目標などを把握し、相談しやすい環境を整えておくと助けの声が上がった時に問題解決がスムーズでチームの信頼関係や一体感が高まります。また、チーム全体のヘルプシーキングのスキルが高まり、個人の成果を出しやすいでしょう。

歯科衛生士 帆保智子

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