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歯科医院の事務長問題

2021.12.06

スタッフ数も多く大規模な歯科医院では事務長というポストをつくり、事務長が人事管理や経営に関するマネジメントをしています。

もちろん、歯科医院のスタッフ規模に関わらず、人事や経理といった面で事務長を雇おうか悩んでいる院長先生もいるかと思います。
そこで今回は、事務長は歯科医院に必要なのか、事務長を雇うリスクとメリット、そして事務長の仕組み化について詳しくご紹介していきます。

1.事務長を雇うリスク

事務長を雇うことはメリットもありますが、リスクも伴います。具体的なリスクについてご紹介します。

1-1.終身雇用の問題
歯科衛生士に関しても、人を雇用していく上で終身雇用制度は経営者にとって大きな問題となります。
事務長を雇用する際に、大卒の男性を雇用する大手医療法人もあります。
もちろん、大企業のように人事評価制度が確立されていて、昇給に関しても明確な基準があればいいですが、なかなかそのような歯科医院は無いと思います。

雇用制度に明確な基準がないような歯科医院では、事務長は長く雇用していくうえで、人件費だけが上がっていくといったリスクがあります。
もちろん、退職する際にはそれ相応の退職金の支払いも必要になってきます。
定年まで長くしっかりと働いてくれればいいですが、一定の年齢になり、かえって経営的にも心理的にも負担になるリスクがあります。

1-2.立場の問題
事務長のリスクとしてもう一つ挙げられるのが「立場」です。
いくら大卒の優秀な人材を雇用したとしても、歯科衛生士からすれば、患者さんへの歯科衛生士業務ができないのにどうして人事評価をされるのか不満が出る場合があります。

院長先生の代わりに勤務医への面談も代わりに行うことが多いので、勤務医からの事務長への不満も出ます。

事務方のトップとしての立場はありますが、歯科における医療現場は、歯科衛生士と歯科医師が医療を提供しているため、どうしても、事務長の立場が低くみられてしまいがちです。
そういった人間関係のストレスからも、事務長という組織での立場は確立しにくくなります。

2.事務長を育てるメリット

事務長を雇用するリスクを説明しましたが、もちろんメリットもあります。

2-1.院長の負担軽減
事務長を雇用する一番のメリットは院長先生の負担軽減です。
スタッフ同士のトラブルが起こった時の対応や入退職の際の様々な書類の手続きや連絡など院長が行っていることもあるでしょう。
また、ホームページ更新やS N Sなどの広告宣伝に関しても、比較的若い世代の院長先生では全てを自分でやっているという歯科医院もあります。
しかし、このようなことを事務長がいればすべて任せることができます。

そういった作業を全て任せられることで、院長先生は集中して治療に取り組むことができます。

2-2.明確な人事評価
人事評価は大企業でなくても、中小零細企業でも採用している制度です。
その制度に基づいて、事務長が正確にスタッフの賞与や昇給について管理し、明確化することで、院長先生は決定を下すだけで良くなります。
どうしても院長先生一人が人事評価をしてしまうと、不公平が出てしまい、スタッフから不満が出てしまうことが多くなります。
事務長を雇うことで、スタッフそれぞれの正当な評価をすることができ、スタッフ全体の規律も高まっていきます。

3.事務長の仕組み化をする

結局、事務長を雇うべきなのかどうなのか、ということに関してはメリットもデメリットもあり、明確な答えは出ません。

しかし、事務長の仕事を仕組み化することは歯科医院にとって必要です。
素晴らしい事務長を育てても、転職してしまって、院長の負担が結局増えてしまったという歯科医院は多いです。

そうならないためにも、院長が事務長の仕事をマニュアル化しておくように指示を出しておき、もしやめてしまっても、事務長の仕事が引き継ぎできるようにしておくことが重要です。

事務長の仕事内容は歯科医院によって異なるので、なかなか仕組み化できないということもあります。
最近では事務長代行サービスといったものもあります。
状況に応じてそういったものを活用するのもいいでしょう。

事務長を雇う前にまずはやるべき作業があります。
それは、院長先生が現在やっている業務の中で、院長でなくてもできる事務作業は何かを洗い出し、マニュアル化することです。
そうすることで、雑務が減り院長先生がより診療に専念できます。
ぜひ事務長の仕事内容をまずは洗い出してみましょう。

事務長を直接雇用するのか、まず代行サービスでやってみるのか、どちらにせよ仕事内容の洗い出しは必要になります。
これをやってみると、歯科医として無駄な作業がいかに多いかが視覚化されます。

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