~スタッフ教育が歯科医院の未来をつくる~
歯科医院の経営を安定させるためには、新規患者を呼び込みリコール率を高めることが重要ですが、スタッフを教育し定着率を高め、信頼できるチームを作ることも重要です。
スタッフ教育の重要性
スタッフ教育は、信頼できるスタッフを育成するとともに、定着率を高めます。
スタッフが離職する理由
スタッフが勤務していた歯科医院を離職する主な理由として以下のようなものがあります。
1. 人間関係のトラブル
2. 教育体制の未整備
3. 歯科医院への不満(労働環境・評価・給与・待遇など)
4. 他職種への転職
5. ライフイベントの変化(結婚・出産・育児・介護等)
1、2、3についてはスタッフ教育で改善可能です。
スタッフ離職の影響
スタッフが離職してしまうと、業務がこれまで通り回らなくなるだけでなく、他にもさまざまな影響があります。
1. 採用・新人スタッフ教育コストの増加
2. 既存スタッフの負担増加
3. 患者への対応レベルの低下
4. 歯科医院のイメージダウン
スタッフがひとり離職すると、目に見えない損失がこれだけ発生しているのです。
スタッフ教育が経営の安定につながる理由
1. スタッフが医院への信頼や愛着が育ち離職しにくくなる
2. スタッフが自主的に動くようになるため、院長は経営に力を入れやすくなる
3. スタッフのスキル・接客力が向上し患者満足度が高くなり、新規患者獲得・リコール率アップにつながる
4. ヒューマンエラーが減少し医院の信頼性向上につながる
スタッフが育っていない歯科医院では、院長がしなければいけないことが増え疲弊します。その結果、スタッフ教育に取り組む余裕がなくなるという悪循環に陥るリスクが高くなってしまうのです。経営を安定させるために、スタッフ教育に力を入れて、有能で信頼できるスタッフの定着率をあげる必要があります。
目標設定はスキルだけでなくモチベーションの向上につながる
スタッフ教育は、「スキル・患者対応」と「姿勢・意識」のふたつに大きく分類できます。片方の教育だけに取り組むのではなく、両方並行して取り組むことが大切です。
スタッフ教育は2年目以降が大事
1年目の新人スタッフ用の教育カリキュラムを、作成している歯科医院は少なくありません。しかし、重要なのはむしろ2年目以降のスタッフの教育カリキュラムです。
なぜなら、1年目のスタッフはもともとモチベーションが高い状態であり、日々新しいことを学び成長していきます。しかし、2年目以降のスタッフは、慣れや医院に対する不満などでモチベーションが徐々に低下していく方が増えてくるからです。モチベーションの低下は離職につながります。
2年目以降のスタッフのモチベーションを低下させないために、2年目以降の教育カリキュラムを作成することが大切です。
教育カリキュラムを作成する意味
大部分の人は、自分で目標を立てて達成するために取り組むよりも、人から目標を設定されてそれに達成するために取り組む方が楽に取り組めます。
スキルや患者対応の目標を設定することで、達成するために緊張感を持って業務に取り組めるようになり、モチベーションを保てるようになります。
評価や昇給などの基準がわからないと、不満を感じて離職につながります。評価や昇給が目標達成という基準に基づいているとわかれば納得し、不満を軽減することができます。
他にも、採用面接時に教育カリキュラムを提示することで、成長できる歯科医院であることをわかってもらい、やる気がある優秀な人材の採用につながります。
このように教育カリキュラムを作成することは、スタッフのスキルや患者対応の向上だけでなく、さまざまなメリットがあるのです。
教育カリキュラムの作成方法
教育カリキュラムの作成方法は3通りあります。
1. スタッフ一人ひとりからいくつかの目標を決めてもらい、それをカリキュラムに反映させる
2. 医院側でカリキュラムを作成する
3. 1と2のミックス
最も効果的なのは3です。理由は、スタッフが個々で立てた目標は、医院が求める方向性とぶれる可能性があり、医院側が作成したカリキュラムを押し付けると、やらされている感じが出てしまい真剣に取り組めない可能性があるからです。
そのため、医院側が作成した教育カリキュラムに、個々のスタッフの目標を組み込んだ教育カリキュラムを作成することが効果的となります。
作成した教育カリキュラムは、スタッフに目標を達成する意味を説明し、同意してもらってから取り組んでもらうことが大切です。
目標を立てても放置していたら意味がないので、毎月1回はフィードバックを行い、改善点のアドバイスだけでなく、良かった点を探して褒めることでモチベーションの維持に努めましょう。
スタッフが目標を立てるときにするアドバイス
スタッフに目標を設定してもらうときは、以下のことを伝えておくと効果的な目標を立てられる可能性が高くなります。
目標は具体的であること
達成したことがわかりやすい目標であること(例:SRPを~分以内など)
現実的な目標であること
目標達成の期日を明確にすること
達成したことがわかりにくい目標は、達成しようとする意欲が湧きにくいため、具体的でわかりやすい目標であることが大切です。また、非現実的な目標は意味がないため、真剣に取り組めば達成できる目標を立て、緊張感を持って取り組めるように期日を明確にしておくようアドバイスしましょう。
医療ライターY.A