~スタッフが育つ、辞めない仕組みづくりは歯科医院経営の基礎~
スタッフ教育で重要なことは、一貫した指導と明確な目標の共有です。しかし、スタッフ教育をその場しのぎで行っている歯科医院が少なくありません。そのため、「誰に何を教えたのかわからない」「スタッフによって指導内容がバラバラ」といった問題が生じてしまいます。解決策としておすすめするのが、教育用チェックリストの導入です。
教育チェックリストを導入する5つの効果
スタッフの教育にチェックリストを導入すると以下の5つの効果が期待できます。
1. スタッフが何を学べばよいのか理解しやすくなる
2. 教育内容に一貫性を持たせられる
3. スタッフが成長を実感しやすくなる
4. 評価やフィードバックに活用できる
5. 教える側の負担軽減につながる
それぞれの効果を詳しく説明します。
スタッフが何を学べばよいのか理解しやすくなる
スタッフにとって何を学べばよいのかわからない・わかりにくいことは、精神的な負担となり、業務にも支障をきたします。チェックリストで「何を、いつまでに、どのぐらい学べばよいのか」を明確にすることで、不安なく前向きに学べるようになります。
教育内容に一貫性を持たせられる
チェックリストに沿って教育を進めることで、医院全体で教育内容に一貫性を持たせられるようになります。特に教育担当者が複数いる場合には効果的です。伝え忘れや指導内容のバラツキ、タイミングのズレなどを防止できます。
スタッフが成長を実感しやすくなる
チェックリストで指導された内容とそれを習得した日付が分かれば、スタッフは成長を実感しやすくなり、達成感も得やすくなります。また、チェックリストに達成目標日も記載されていれば、その日までに目標を達成しようと高いモチベーションを持ち積極的に取り組むことも期待できます。
評価やフィードバックに活用できる
チェックリストで「学ぶ内容」や「習得状況」がわかるため、評価やフィードバックに活用できます。スタッフも「どこを伸ばせば今よりも評価されるのか」がわかるため、自分の評価に納得しやすくなり、離職防止につながります。
院長や指導担当スタッフの負担軽減につながる
ベテランスタッフに指導をお願いする際にチェックリストを作成しておけば、指導内容を一つひとつ説明する手間が省けます。さらに、指導内容や順番、時期などを細かく記載した指導担当者用のチェックリストを作成しておくと、指導担当スタッフの負担軽減につながります。
チェックリスト導入のポイント
チェックリストを導入する時のポイントは以下の3つです。
1. 職種別、経験年数別に作成する
2. 評価基準、指導日、達成目標日、達成日を記載する
3. 定期的に見直しする
チェックリストは、歯科衛生士・歯科助手・受付などそれぞれの業務に合った内容で作成しなければなりません。また、経験年数別に指導内容を分けて作成する必要があります。
評価基準が曖昧だと取り組みにくいため、評価基準が含まれているチェックリストを作成することをおすすめします。
高いモチベーションを持って取り組めるように、達成目標日を記載しておくことも大切です。
チェックリストの内容は、診療体制の変化や新しい医療機器の導入などに応じて、定期的に見直して更新していく必要があります。
新人歯科衛生士用チェックリスト例
最後に歯科衛生士の教育に利用するチェックリスト例の一部をご紹介します。あくまでも一例ですので、自院に合った形に調整して作成してください。
カテゴリー 項目 指導日 達成目標日 評価(A~D) 確認者
予防処置 PMTCの手順
ブラッシング指導
フッ素塗布
評価:A(ひとりでスムーズに業務可能。新人への指導も可能)
B(ひとりで業務可能だが新人指導は難しい)
C(なんとか業務可能だが安心して任せるにはまだ練習が必要)
D(業務を任せられない)
医療ライターY.A