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自分で考えて行動する新人スタッフの教育法

2025.06.23

「指示をするまで何も行動しない」「自分で考えて行動する姿勢がみられない」などと悩んでいる院長もいると思います。

特に、新人の頃から自分で考えない癖がついてしまうと、仕事のモチベーションが上がりにくくなり、結果的に辞めてしまうケースも少なくありません。

そこで今回は、自分で考えて行動する新人スタッフの教育法について解説します。

自分で考えて行動するための「3つの教育法」

最初の1ヶ月は「覚える」より「慣れ」を優先する

新人は歯科医院の様子がわからない、仕事も何をしたらいいのかもわからない、といった状態です。院長や先輩スタッフに見えていることが、新人には見えないことも少なくありません。

そのため、そういった新人の状態を頭に入れながら、指導する必要があります。たとえば、最初の1ヶ月は歯科医院に慣れることを目標にしてもいいほど。

そうしないと仕事は覚えられない、医院に愛着が湧かない、早く辞めたいといった思考になる傾向があります。特に新人は緊張しながら仕事に取り組むため、最初の1ヶ月の記憶がないといった状態にも陥りやすいです。

そのため、初めの1ヶ月は多くのことを教えるのではなく、まずは歯科医院に慣れてもらうことを優先しましょう。新しい場所に慣れ、身近な場所になることで安心感が増し、本来の自分を発揮しやすくなります。

朝のミーティングで仮説を立て説明する習慣を身につける

新しい仲間が歯科医院に入った場合は、全体ミーティングとは別に新人とのミーティング時間を毎日設けると良いでしょう。5分〜10分の短いミーティングが理想です。

また、初日のミーティングは雑談でも構いません。雑談をすることで新人の緊張を和らげ、信頼関係の構築への第一歩になります。2日目以降は「昨日、何をしたか覚えている?」「〇〇の処置は何のためかわかる?」と、前日の診療内容についての質問をし、説明してもらいましょう。

この質問を毎日行うことで、相手は常に答えられるように準備しておこうと考える癖が身に付く傾向です。ただ、こういった質問を行うとほとんどの新人は緊張して「わかりません。」と答えるでしょう。

しかし、そこでもう一歩踏み込んで「わからなくて当然だよ、新人なんだから、何でも思ったことを言ってごらん」と何か答えるまで待つと、新人は何かを言わざるを得なくなります。

さらに、答えが出ない場合は「今日の診療中にどうしてなのかを考えてみてね」と伝えることで、業務への観察力が向上するでしょう。

間違っても良いから「こうではないか」と仮説を立て説明するという習慣をミーティングで身につけてもらうのが目的です。仮説を立てられるようになると、物事の洞察力が深まります。

洞察力を高めることで、これまでの作業から類推して次の仕事を予想する、仮説的思考ができるようになるのです。つまり、処置や自分のすべき行動について、自分で考えるようになるでしょう。

休憩時間をこまめに取る

指導する際には、休憩時間(お昼休み)とは別に、トイレ休憩を考えておく必要があります。院長や先輩スタッフが熱心に指導してくれている時、新人から「トイレに行きたいです」とは言いにくいです。

つい、指導に熱が入ると忘れてしまいがちのため、事前に「教えることに熱が入って、トイレ休憩を私が入れずにいたら恥ずかしいかもしれないけど、ちょっと休ませてください。と言ってね。」と伝えておきましょう。

教えてもらうばかりの新人の間は、院長が思う以上に緊張を強いられています。1時間以上緊張した状態で話を聞くと、疲れ切ってしまい教えられたことも頭に入らない可能性が高いです。

集中力が切れてしまう前に、余裕をみて「ちょっと一息入れようか」と伝える余裕を持ちましょう。また、1ヶ月に1度ほど新人との休憩時間を作り、暖かい物でも飲みながら「あの時はどう思ったの?」と質問する形でコミュニケーションを取るのもおすすめです。

「そんな風に思っていたんだ」「どういうこと?」などと話を広げていくことで、相手はいろんな話をしてくれるようになります。休憩時間は相手の話を聞くようにすると、仕事に対しての本音やどの程度理解が進んでいるかも把握できます。

少しの休憩時間が、相手をより知る機会になり信頼関係の構築にも繋がるのです。

まとめ

自分で考えて行動させるには、考える癖をつけることや今のスタッフの理解度を知ることが大切です。相手に必要な指導でないと、モチベーションが下がってしまい院長との関係性も悪くなりやすいです。

そのため、日頃から会話をして何に困っているのか、どこまで理解しているのかを把握し、質問を繰り返すことにより自分で考え、行動するようになります。

新人スタッフを考えて行動できるように教育し、歯科医院のチーム力を高めていきましょう。

歯科衛生士 帆保智子

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