歯科医院経営において、患者が一度来院しただけで終わってしまうのか、それとも定期的に通い続け、さらに家族や友人を紹介してくれるのかは大きな違いです。その差を生むのがフォローアップです。診療後の関わり方によって、患者の歯科医院に対する信頼感を高め、再来院率や紹介率といった数字に直結します。
この記事では、歯科医院経営者が実践できる具体的な方法や準備、注意点などを解説し、フォローアップを経営戦略として活用するポイントを紹介します。
フォローアップが歯科医院経営に果たす役割
診療後のフォローアップは、単なる気遣いではなく、患者との信頼関係を深め、再来院の集患を生み出す重要な施策です。患者は治療したら終わりではなく、その後も気にかけてもらえていることで安心感を得ます。この安心感が信頼につながり、定期検診やメンテナンスの習慣化を促進するのです。結果として、再来院率や紹介率のアップへと直結します。
「フォローアップの重要性は理解しているが実際どのようにすればいいのかわからない」と悩んでいる歯科医院経営者も少なくありません。フォローアップをシステム化するには、手段の選定、運用フローの構築、担当者の明確化が不可欠です。
フォローアップの具体的な方法と準備すべきこと
アフターケアの代表的な方法には、電話やLINEによる経過確認、WEBアンケートの実施などがあります。実践するには以下のような準備が必要です。
ルール作り:まず「どの患者に」「どのタイミングで連絡するか」を院長やマネージャーが決めなければいけません。例えば:インプラント手術後は翌日電話で経過確認する、ホワイトニングは1週間後にLINEで確認するなど。
マニュアル整備:すべてのスタッフが質の高い対応ができるように、定型文などを作成しておくことが大切です。
担当者の決定:院長やマネージャーが基準やマニュアルを作成しますが、実際に使った歯科助手や受付スタッフの意見を取り入れながら、改善していくことが望ましいです。
院内研修でロールプレイを行い、自然と対応できるように準備しておきましょう。
フォローアップを導入する際の注意点
フォローアップを導入する際は、以下のようなことに注意してください。
過度な連絡は避ける:しつこいと感じられて逆効果になります。患者の安心につながるかを基準に頻度や内容を決めてください。患者に直接メールやLINE、電話をする場合は3ヶ月~6ヵ月に1回が目安となります。
個人情報の保護の徹底:LINEやアンケートを使用する場合は、プライバシーへの配慮を徹底する。個人が特定されるような内容の公開は控え、患者に伝える場合は周りに他の患者がいない状況で伝える。治療台で本人だけに伝えるのが望ましいです。
スタッフ任せにしない:フォローアップをスタッフだけに任せてしまうと、いつの間にか形だけの対応になってしまっているリスクがあるので、院長が定期的に内容を確認し、フォローアップの質を保つように努めましょう。
フォローアップを経営成果に変えるために
フォローアップは、歯科医院の成長と安定に直結する取り組みです。歯科医院経営者として意識すべきは、フォローアップの流れを整えるだけで満足せず、院長自らが成果や課題を見極め、改善し続けることです。この意識がある歯科医院とない歯科医院では、再来院率や紹介率に大きな差が生まれます。
「定期的な連絡や案内を通して患者の安心感を高め、治療後も信頼を維持する」という考え方を持つことが重要です。これを経営判断の軸に置くだけで、フォローアップは歯科医院経営を安定させる力になります。
医療ライターY.A