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業務マニュアルが浸透しない理由

2022.01.31

新人スタッフが入るのでせっかくマニュアルを作ったが、なかなかマニュアルが浸透せず、スタッフのレベルにバラつきが生じてしまうことがあります。

一定レベルの水準を維持させるものとしてマニュアルは必要だが、マニュアルが意味を成していない歯科医院があります。

そこで今回は、なぜマニュアルが浸透しないのか、その理由とマニュアルによる具体的な仕事効率化についてご紹介していきます。

1. なぜマニュアルが浸透しないのか

マニュアルが浸透せずなかなか効果が現れない歯科医院は、作っただけで満足してしまい、現場とマニュアルに大きな差が出てしまっているケースが多いです。

たとえばどこかの企業の礼儀作法マニュアルなどを取り入れて、そのまま使っている歯科医院もあります。
しかし、歯科医院それぞれにあったマニュアルを作らなければマニュアルに沿った行動はできません。

歯科衛生士業務において、歯科衛生士にはメンテナンスを専念してもらう歯科医院がある一方、ブリッジ形成にあたりT E K作成までしてもらう歯科医院もあります。

ひとえに歯科医院で歯科衛生士という枠組みの中でも、業務内容はそれぞれに違います。
ですから、現場にあっていないマニュアルはあまり意味がなく、浸透しづらいです。

2. マニュアルを浸透させる3つポイント

マニュアルを浸透させ、歯科医院に定着させるには主に3つのポイントがあります。

2-1.スタッフに作らせる
マニュアルは院長自ら作ってしまうこともあるため、現場の仕事内容と院長がやってほしい仕事内容との差が生じやすいです。
ですから、マニュアルはスタッフ主導で作成してもらいましょう。
一度メンテナンス業務において患者さんへの説明内容から器具の使用方法まで具体的に書き出させてみてください。ベテランスタッフも新人スタッフが入所したとき、どのように教えればいいのか見直しになります。

ここで院長先生がやってしまいがちなことが、チーフスタッフ1人に全てをやらせてしまうパターンです。

これは、1人に大きな負担がかかってしまうため、お薦めできません。
マニュアルの目次は院長が作成し、メンテナンス業務は歯科衛生士、歯科助手ができる業務は歯科助手がマニュアルを作成するといいでしょう。

そうすることで、スタッフ全員が参加し、現場にあったマニュアルが作成でき、浸透していきます。

2-2.他のスタッフが修正する
マニュアルが作ったままにならないように、マニュアルを作成した担当者以外のスタッフが修正しましょう。

相違点や説明内容の言い換えを修正することで、よりわかりやすいマニュアルを作成することができます。特に若手スタッフが見直すことで、「ここの説明が足りない」「わかりにくい」といった箇所を修正でき、より現場にあった医院独自のマニュアル作成できます。

可能であれば、ベテランスタッフが作成し、若手スタッフが修正するという流れの方が新人スタッフに対してわかりやすいマニュアルを作成できます。

2-3.教育担当スタッフによる実行
マニュアルが新人スタッフだけでなく全員に浸透していくためには、教育担当スタッフによるマニュアルの実行が不可欠です。

たとえば、抜歯後の説明内容において、絶対に説明しなくてはいけない項目を挙げ、具体的な例文をマニュアルに記載したうえで、教育担当スタッフ自身も実行することで普段から内容をしっかり遵守できているかチェックしましょう。

新人スタッフは先輩スタッフの言動をよく見ています。マニュアルに沿った対応がしっかりとできているか?これが不完全だと、いくら指導してもなかなか浸透しません。
時間はかかりますが、教育スタッフも日頃からマニュアルを実行できるように取り組んでいくことが重要になります。

3. マニュアルは年に一度見直そう

マニュアル運用で重要なことは、年に1度は見直しが必要ということです。
使用されなくなったモノ、新しくなったモノやが加わることで、現在と過去に作成したマニュアルに違いが出てきます。
本来は、都度見直しが理想ですが、なかなか人員的に困難な場合があるでしょう。
最低でも1年に1度は、マニュアル見直しの時間をとって修正を行ってはいかがでしょうか。

作ったら作ったままではいつまでたっても、現場で使えないマニュアルが残るだけです。
また、スタッフにとっても「マニュアルは重要ではない」という誤解を与えてしまいます。
常に新しい情報を更新し、現場ですぐに使えるマニュアルを作っていきましょう。

Dentist N



業務マニュアルといっても、その内容は多岐にわたります。
患者さんに対する接遇や診療に関する業務、クレーム対応、予約に関するものなど膨大な内容になります。
まだ先生の医院にマニュアルが無いなら、全部を一気に作ることは現実的ではありません。
たとえば、接遇に関する「身だしなみマニュアル」を作ってみる、診療前後の作業のマニュアルを作ってみる、などできるところから始めてみませんか?

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