歯科医院の集患を考える際、広告や口コミに目が向きがちですが、患者からの紹介も重要な集患手段のひとつです。紹介制度は、歯科医院がこれまで積み重ねてきた信頼を活用し集患につなげる仕組みといえます。さらに、紹介された人は紹介者への配慮が働くため、結果としてキャンセル率が低下する傾向があることも、紹介制度のメリットです。
歯科医院が紹介制度を導入する意味
紹介による来院は、歯科医院側が紹介制度を設けなくても、すでに行われています。たとえば、家族の誰かが歯科治療を受け、その対応にポジティブな印象を持った場合、「あの歯科医院は安心できた」といった感想が自然と共有されます。その話を聞いた家族が、同じ歯科医院に通院するようになるケースは珍しくありません。しかし、そのような紹介は患者の自主性に委ねられているため、継続的な集患につながりにくいという側面があります。
紹介制度を導入する目的は、すでに行われている紹介という行動を、より起こりやすい状態に整えることにあります。患者に「紹介する」という行為の意味や動機を与えることで、紹介件数を増やし、継続的な集患につながります。
ネット上での口コミと紹介による違い
ネット上の口コミと知人からの紹介は、過去に治療を受けた人から歯科医院の情報を得るという点では共通していますが、性質が異なります。
口コミは、不特定多数に向けて発信される情報であり、治療を受ける歯科医院を探している人にとっては参考意見のひとつと認識されることが多いです。一方、誰が書いたのか分からないコメントのため、歯科医院選びに与える影響は限られます。
一方、紹介は家族や友人、知人といった身近な人から直接聞くことができます。知りたいことがあれば質問することもできるため、口コミに比べて得られる情報が多いということが特徴です。また、身近な人から得られた情報であることから、歯科医院の選択に大きな影響を及ぼします。
このように、口コミは広い範囲に薄く伝わる情報であるのに対し、紹介は限られた範囲に深く伝わる情報です。どちらも歯科医院について他者に伝えられる点では同じですが、歯科医院選びへの影響度には大きな違いがあります。
紹介制度の設計方法例
紹介制度を設計する際は、まず「紹介した人」と「紹介された人」の双方に、どのような特典を用意するのかを決めます。特典の内容は、高額なものである必要はありませんが、一種類ではなく複数用意しておくことが大切です。特典に選択肢を持たせることで、紹介意欲が高まり、同じ人が複数人を紹介してくれる可能性が高まります。
多くの歯科医院では、院内で日常的に取り扱っている商品やサービスを活用し、無理のない形で紹介特典を設定しています。たとえば、歯ブラシと歯磨き粉のセットやPMTCやホワイトニングの割引券などを特典としているケースが多いです。
制度運用の方法としては、紹介カードを作成し、カードの裏面に紹介者の名前を記入してもらう形が比較的取り入れやすいでしょう。紹介してもらった人が予約時に紹介制度を利用することを伝え、来院時に受付スタッフに紹介カードを渡すことで成立するようにすれば、シンプルで運用しやすくなります。このように紹介制度は仕組みをシンプルにし、スタッフ全員が共通認識を持てる形で設計することが重要です。
まとめ
紹介制度は、自然と行われている「紹介」という集患行動に意味や動機を持たせ、継続的に紹介件数を増やす仕組みです。
広告や口コミとは異なり、紹介は身近な人から得られる情報のため、歯科医院選びの決定に与える影響が大きいという特徴があります。
無理のない特典とシンプルな運用を全体に、自院の診療体制に合った形で導入することが重要です。
医療ライターY.A