「スタッフのやる気がない」と、悩んでいる院長は多いと思います。やる気は個人の要素もありますが、職場環境の影響を受けるケースがほとんどと言われています。その中でも、上司にあたる院長やチーフとの関わりの影響によって、やる気を失っているスタッフは少なくありません。
そこで今回は、スタッフがやる気を失っていく上司の4つの特徴について紹介します。
理由や背景を説明しない
たとえば、スタッフのひとりが「新人スタッフへの教育は、どうしてこういう流れなのですか?違うやり方もあると思います」と質問した場合、上司が「それは、5年前に僕と以前いたスタッフで一緒に作ったマニュアルなんだよね。内容は問題ないから、その通りにやればいいよ」と返答。
しかしこれでは、相手のより良い仕事がしたいと思う気持ちを、そぐことになります。そのため、ゼロベースシンキングを取り入れるのがおすすめです。
ゼロべースシンキングとは本質追求のことで、一般的な常識や先入観などに捉われず、物事をゼロから考えます。新人や中途入社で判断せず「どうしてですか?」「これはなぜ必要ですか?」などの素朴な疑問は、改めて本質を問うきっかけになります。
また、院長やチーフはスタッフに対して常に説明責任があることを自覚し、丁寧なコミュニケーションを意識する必要があります。「どこが気になる?」「5年前に作成したマニュアルなんだけど、今に合っていないかな?」などと、相手の良くしたい思いを尊重するように心がけましょう。
一方通行の指示
スタッフに資料作りや備品のポップ作りなどを、丸投げしていませんか?任せたという言葉は、スタッフを信頼しているように聞こえますが、スタッフからすると「本当に信頼されて任せてもらったのだろうか?」と、不安感や院長やチーフへの不信感が募る態度とも言えます。
そのため、一方的に頼み事を伝えて終わるのではなく、対話を重ねて信頼感や一体感を育成しましょう。資料を作成してもらうにしても「何を伝えたいのか」「目的」「考え」などが、お互いに違います。
対話をすることで、お互いの考えたプロセスを確認しながら、新しいアイディアや物の見方などが新たに生まれる傾向があります。その結果、より良い資料が作成されるだけでなく、お互いの信頼関係が高まるのです。
話を聞かずに結論を出す
トラブルが発生したり何か不都合なことが起きたりした際、話を聞かずに一方的に結論を出すのは、相手を尊重していないことになります。人間関係で大切なことは相手を尊重し、お互いに信頼できる状態を築くことです。
そのためには、まず事実をしっかりと確認しましょう。誰かからの伝聞や自分の憶測ではなく、当事者のスタッフから事実とそれに伴うプロセス、言い分を直接聞きます。
そのうえで、上司として心配になっていることや気がかりなことをスタッフに率直に伝え、解決方法をお互いに話し合います。一方的な押し付けではなく、両者が納得する解決方法を見出すことを目指しましょう。
感覚だけで評価する
成果を出しても評価されないと思っていると、誰も本気で仕事に取り組みません。まずは、評価に対する納得度を高める方法がおすすめです。
たとえ、評価制度に則って評価しているとしても、評価者が考える成果とメンバーが考える成果にギャップがある場合が多いです。重要なのは、医院の評価軸を明確にしていくことです。
・医院の評価の大きな目的
・意図は何かをどのような根拠で
・どれくらい差をつけて評価するのか
など、具体的にします。さらに、明確な評価軸をスタッフにも伝えましょう。
「わかってくれている」は通用しません。自分の言葉で、全員が納得できるようにしっかりと伝えることが必要です。また、評価すべきことを行った人を発見できる仕組みづくりも大切です。
仕事を全うし、成果を出しているのに誰も気づかないようでは結局、誰もやらなくなり、やる気が下がってしまいます。たとえば、個別で面談を定期的に行ったり、他のスタッフから話を聞いたりなど、情報を立体的に集める工夫をすることも有効です。
スタッフの見えにくい素晴らしい行動もあるかもしれません。そこまで知っている上司であれば信頼され、スタッフのモチベーションは上がる傾向です。
スタッフのやる気を下げない努力が医院全体で必要
スタッフのやる気は、個人的な問題と捉えることもあります。一方で、日常的にモチベーションが下がる出来事が起こっているとしたら、個人だけの問題ではないと考えます。
今回紹介した上司の特徴に院長やチーフ自身が当てはまったとしても、そのことをしっかりと自覚し、改善すれば少しずつスタッフのやる気が上がり離職率は下がっていくでしょう。
歯科衛生士 帆保智子