新人や途中採用のスタッフのためのマニュアルがあると思いますが、更新せず、ずっと同じ内容のままになっていませんか?マニュアルは単なる教育の資料ではなく、医院の方針の統一やスタッフのスキルアップに繋がります。
そこで今回は、マニュアルの見直し方について解説します。
マニュアルは必要?
そもそもマニュアルとは、経験や勘に基づいた知識を説明できる形式知識へ変換することをいいます。たとえば、忙しい時間帯に作業優先順位を判断する際の考え方、子どもの患者を相手にする際のコツや同僚と私語を交わす際の言葉遣い。
他にも、病気や怪我で休みを取る際の常識、非常識といった取り組み姿勢、などなど、これらは正解が不透明のまま個人の判断に任せられがちです。
しかし、マニュアルがあることで目にみえる統一基準(ルール)を設けることができ、個人でバラバラだった認識や行動を医院の考えとして統一化できます。
また、患者への声かけやクレーム対応は単純に手順の説明だけでは不十分で、状況を見極めるポイントや感覚的な対応をうまく行わなければ、事故やクレームに繋がるリスクがあります。しかし、マニュアルを通して、事故やクレームに当たりそうな作業や対応を知ることで、意識して仕事に取り組みやすくなり、結果として歯科医院の雰囲気や評判が高くなる傾向です。
マニュアル作りに適した人とは?
【中立的な人】
マニュアル作成で、個人の感情が入ることは良くありません。問題意識を持っていても偏った考え方をしている人では、良いマニュアルはできないからです。
たとえば、自分のやり方が一番正しいと考えていて、他人の意見に聞く耳を持たない人は向かないと考えます。そのため、自分の意見を伝えつつ、相手の意見も取り入れることができる人材が適しているでしょう。
【意思決定ができる人】
マニュアル作成には、性格面としてある程度の思い切りの良さ、前向きな思考な人が向いている傾向があります。「この業務でいいのか」「何が正解なのか」と、議論になる場合があり、意思決定できる人(判断できる人)がいるとマニュアルの内容が前進します。
ただし、意思決定が苦手な人でも、意思決定ができる人を巻き込む、必ずマニュアルを確認する、というステップを踏まえると、偏ったマニュアルにはなりにくいでしょう。
マニュアルを見直す4つの必須項目
【歯科医院のビジョンやクレドが明確になっているか】
クレドとは、企業理念に基づいた行動指針を具体的かつ簡潔に記載したものです。具体的には「どのように仕事をすべきか」「どのように振る舞うべきか」など、全スタッフで共通認識をもち、行動するために使われています。
共通の目的や考え方を持ちつつ、ひとつひとつのマニュアルを作成、見直ししていくとマニュアルは何のためにあるのかが、明確になるでしょう。
【当初想定した目的や活用シーンに合っているか】
マニュアルを見直すにあたって「なぜマニュアルを作成するのか」を改めて目的を明確にすることが重要です。活用の目的が不明確なまま、とりあえずマニュアルを作成することも少なくありません。
しかし「何のために」「誰が」「いつ」「どうやって使うのか」を明確にしないまま作成しても、読まなくなったり、自分には不必要と捉えられたりと、マニュアルを活用できずに終わってしまう可能性が高いです。
ただ、誰にでもわかりやすいを目的にすると誰にも中途半端でわかりにくいマニュアルになる傾向があります。そのため、「使い手の活用シーンを想定する」「使用者を限定する」ことで、マニュアルの活用度が向上していきます。
【わかりにくくないか、探しにくくないか】
「何が書いているかわからない」「マニュアルってあったんですか?」と言われたこともあると思います。マニュアルで重要なことは、利用者によって解釈が異なることをなくし、しっかりと頭に入るように構成とフォーマットの統一、用語の統一、図面や表などを使用したビジュアル化などの工夫が必要です。
困ったらすぐに探せるよう、利用者にわかりやすい業務の体系化や内容構成の工夫、業務内容が変更された際にすぐに更新できる工夫も大切です。
【理解、活用してもらう仕掛けがあるか】
マニュアルが必要な時、使いたい人が勝手に見るだろうと思っていませんか?日々の業務の中で、マニュアルを活用できるシーンは多くあります。
業務変更時、前のマニュアルとの相違点の明示、業務改善のミーティングなど、積極的にマニュアルの露出度を増やす仕掛けをし、廃れさせずお役立ち感を演出することも大切です。
まとめ
マニュアルは、時代の変化にあった内容に都度、見直しが必要だと考えます。マニュアルは手順ややり方を知るだけでなく、使い方によってはスタッフ個人のスキルアップになり、その結果、医院の評価も高くなる傾向です。スタッフのスキルを高めたい、離職者を減らしたいとお悩みの方は、まずはマニュアルの見直しをおすすめします。
歯科衛生士 帆保智子