歯科医院のみならず、業務を遂行する上で必要とさることがあります。
それは、コミュニケーションを通じて人間関係を良好にし、信頼関係をつくることです。
信頼関係があれば、相手はこちらの言うことを真剣に聴いてくれますし、自身の本音も言ってくれるようになります。
信頼関係をつくるには、様々なステップや方法があります。
また、いきなり構築できるものではありません。
しかし、効果的にそのスピードを高めることは可能です。
今回は、人間関係を良好にし、信頼関係をつくるためのファーストステップ的な、シンプルで実践が容易な1つの習慣を紹介します。
1 〇〇を呼ぶ1つの習慣
では、1つの習慣とは何でしょうか?
答えは単純明快!「名前」を呼ぶことです。
実は簡単なようでなかなかできていないものなのです。
些細なことかもしれませんが、名前を呼ぶか呼ばないかで相手に残る印象は大きく違ってきます。
名前を呼ばれることはうれしいものです。
おそらく先生にもそんな経験があると思います。
2 心理学で「ネームコーリング」と呼ばれるテクニック
「相手の名前を呼ぶ」ことを心理学では「ネームコーリング」と呼ばれています。
このネームコーリングは、
対患者さんはもちろん、医院スタッフ間でも意識して使いたいテクニックになります。
患者さんで考えてみます。
受付では、名前を呼ぶことは普通のことですが、
診療室ではいかがでしょうか。
チェアに座った時、治療に入るとき、治療の合間の軽い雑談時、治療が終わった時など
一声かける際に、「〇〇さん」を冒頭に付け加えてください。
なぜ名前を呼ぶことが重要か。
それは、「自分の名前」が一番心地の良い言葉であるからだと言われています。
自分の名前には強いアイデンティティが無意識に宿っているため、名前を呼ばれることで承認欲求が満たされるとされています。
承認欲求を満たすことで、相手は動いてくれやすくなっていきます。
ここでは、「真剣に話を聴こう」「指導してもらったことを頑張って実践しよう」などの行動に置き替えられます。
3 スタッフ間で実践したいネームコーリング
名前を呼ぶ「ネームコーリング」は職場である医院でも実践することをおすすめします。
まず実践してほしい場面は「挨拶」です。
相手の顔を見て笑顔で、「○○さん、おはよう」と相手の名前を呼んで挨拶をしましょう。
普段は、なかなか名前+挨拶になっていないのではないでしょうか。
名前を呼ぶか呼ばないかはまさにたった一言の違いですが、この一言が心理的に大きな違いを生みます。
相手の名前を呼ぶことは、良好な人間関係を築くのにとても有効です。
普段から、何気ない雑談をうまくできない苦手意識があっても、積極的に人と話すのが得意でなくても、どんな人でも始められるのがこの「名前+挨拶」です。
昨日まで呼んだことのない相手の名前をいきなり呼ぶのは気恥ずかしいものですが、ぜひ今日から始めてみてください。
きっと相手との距離が少しずつ縮まり、ちょっとした雑談がしやすい関係になっていくのを実感できるでしょう。
4 「人を動かす」の著者デール・カーネギーも提唱
人は「自分に話しかけてくれている」「自分を認めてくれている」と感じることができます。
また、大ベストセラー「人を動かす」の著者デール・カーネギーも、「名前は、当人にとって、もっとも快い、もっともたいせつな響きを持つ言葉であることを忘れない」と述べ、名前を覚えて呼ぶことが人に好かれる原則の1つであるとしています。
まとめ
患者さんに好印象を与え、日々のコミュニケーションを円滑に進めることができれば、次第に信頼関係が構築されていきます。
信頼関係があれば、定期検診の受診率も上がりますし、自費診療の説明も真剣に耳を傾けてくれるようになるでしょう。
また、職場においてもコミュニケーションが活性化すれば、仕事が円滑に進むだけでなく、従業員の満足度が上がり、離職率を下げることができます。
職場の活性化のために、ぜひ「名前を呼ぶ」コミュニケーションを実践してみましょう。
まず院長である先生から率先して始めてみてください。
そして、院内全体に名前を呼ぶ行動を広げてみてはいかがでしょうか。
歯科衛生士 N.H.