クレームは、発生した時に対応すればいいと、考えている医院もあると思います。
しかし、クレームは突然くるものです。
事前にどういった対応をするのか決めていないと、適切な対応ができないケースが多いでしょう。
間違った対応は、患者さんを不快にさせるだけでなく、歯科医院にとっても大きな影響が出る可能性があります。
そこで今回は、対面でのクレーム対応の3つのポイントについて解説していきます。
是非、クレーム対応の参考にしてください。
1 クレーム対応のマニュアルは事前に作っておく
クレーム時に、スタッフが間違った対応をすると患者さんの怒りが増して、さらにクレームを伝えてくる場合があります。
クレームが長時間になるほど、受けとる側のスタッフのストレスになり、対応が雑になるケースも少なくありません。
その結果、患者さんが周りに医院の評判を悪く言ったり、来院数が減ったりする傾向があります。
さらに、クレーム対応をするスタッフや院長には、ストレスが溜まるので、仕事へのモチベーション低下にもなりやすいでしょう。
事前にクレーム対応のマニュアルを作成していれば、トラブルが起きたときに焦らず、冷静な対応ができます。
適切な対応ができ、トラブルの悪化を防ぐことにも繋がります。
2 クレーム対応のポイントは3つ
クレーム対応では、次の3つのポイントを押さえておきましょう。
①話しを最後まで聞く、ゆっくりと話す
まずは、患者さんの話を遮らないようにしましょう。
早く謝らなければと思い、話の途中で「申し訳ございませんでした。」と言って話を遮ってしまうと、「謝れば済む問題じゃない!」と返って怒りを増幅させやすいです。
感情的になっているときの人は、不満に思っていることを全て出したいという欲求をもっています。
患者さんが話終えるまでは、邪魔をせずに傾聴することに徹しましょう。
また、クレーム対応では、冷静にゆっくりと会話をするのが基本になります。
お互いが早口になれば、さらに感情的になり収集がつかなくなることもあります。
患者さんの話を聞き終えた後は、ゆっくりと話すようにしましょう。
人は無意識のうちに、相手のペースにのまれてしまう傾向があるからです。
こちらが落ち着いた態度をとっているうちに、相手の気持ちも落ち着くようになるでしょう。
②質問をする
患者さんの怒りを静めるために「まあまあ、落ち着いて」「お静かにお願いします」
などといった声かけは、返って怒りを増幅させる可能性があります。
なぜなら、適当にあしらわれている、自分の話しを聞いてくれないと感じるからです。
そのため、患者さんが話した後は、質問で返すのがおすすめです。
例えば、「入れ歯が何度も壊れて不便だ。」とクレームを言われた場合。
「今回はなぜ壊れたと思いますか?」と質問してみましょう。
・固い物を食べてしまった
・力を入れて(無理矢理)入れ歯をはめた
など、入れ歯が壊れた原因を相手に考えさせて、怒りをそらせる効果が期待できます。
③事実を確認し改善策を話す
クレーム対応の時は、患者さんの不満を確認することが大事です。
例えば、治療を終えてから会計までの待ち時間が長いことにクレームを言われた場合。
「〇〇さんは、治療を終えてからお会計をするまでの待ち時間が長いことに、怒っていらっしゃるのですね?」
というように、何に対して不満をもっているのかを把握し、確認しましょう。
確認することで、話をしっかりと聞いているのが相手に伝わり、
怒りを抑える効果も期待できます。
その後、「待ち時間が長くなりそうな時は、先にこちらからお声がけするべきでした。」「私と受付スタッフとの連携がとれていませんでした。申し訳ございません。」
など、今後の改善策を伝えることで、相手は受け入れてくれたと感じて冷静さを取り戻すでしょう。
3 まとめ
クレーム対応では、次の3つのポイントが大切です。
・話しを最後まで聞く、ゆっくりと話す
・質問をする
・事実を確認し改善策を話す
トラブルが起きる前に、医院独自のクレーム対応マニュアルを作成しておくのがおすすめです。
実際にトラブルが起きたときに、スタッフや院長が冷静に対処しやすくなるでしょう。
クレームは患者さんが期待しているからこそ生まれます。
患者さんのクレームをしっかりと受け止め改善し、歯科医院をより良くしていきましょう。
歯科衛生士 帆保智子